フーリエ変換(1807頃〜/ジョゼフ・フーリエ)
フーリエ変換はデータの中にある周期性を見つけ出す方法です。例えば、ギターの弦を鳴らしたときに、どんな周波数の波がそれぞれどれくらいの強度で含まれているか、求めることができます。
フーリエ変換がなされる前は、音・信号は時間波形の“ごちゃごちゃ”としてしか見られず、周期性の比較や合成が困難でした。
フーリエ変換の発明後、任意の音や信号データを正弦波の足し算で表すことができるようになりました。音声や画像の圧縮・ノイズ除去・地震や脳波解析まで、周期の“中身”を取り出せるようになりました。
すごいところは、熱・音・光・振動といった別々の現象を「周波数」という共通のものさしで語れるようにした点です。
フーリエの着想は当時大胆で議論を呼びましたが、のちにディリクレらが数学的に基礎づけ、さらに1965年にはクーリーとテューキーが高速フーリエ変換(FFT)を考案。いまやPCやスマホでも一瞬で周波数分解ができ、私たちの暮らしの至る所で使われています。X線結晶構造解析では、その中心技術の一つとして使われています。
いったいどのようにしてフーリエ変換法を考え出すことができたのか、全くもって不思議ですが、きっと数学の勉強をしっかりやったのでしょうね。
感心・感銘体験は意欲を伸ばすのに重要なだけではなく、研究者になって論文を書いたりする上でとても重要です。
「この成果すごいな」と思ったことのない人が、自分がこれから出すはずの成果のどこが優れているのか理解して研究を進めることはほぼ不可能でしょう。
感心・感銘体験は「これができたら良い論文になるな」と感じとるのに必要な感受性を育てるのです。